元証券ディーラー直伝!初心者でも真似できる損切りルールのつくり方

株をされてる皆さんは、どうやって「損切り」をしてますか?

中には「損切りなんてしない!」なんていう強者(2013年以降の相場しか知らない人には多いようですが…)もいるかもしれませんが、よっぽど恵まれた相場でしか通用しませんよね。

株に限らず、投資には絶対がありませんので「損」は当たり前のようについてきます。

この「損」をうまくコントロールして投資効率を上げるために「損切り」をするのですが、投資の中級者までの人は、この「損切り」が上手にできない人が多いようです。

なぜ「損切り」がうまくできないかというと、まず「損切りのルール」を決めることができないからに他なりません。

では、どのように「損切りのルール」を決めれば良いのでしょうか?

その答えは非常に単純明快、買った時のシナリオがくずれた時に「損切り」をすれば良いだけなんです!

逆に言えば、買う時にシナリオがないと効果的な「損切り」をすることはできません。

買う時に考えて欲しいシナリオは以下のようなものがあります。

・株価を使ったシナリオ
・サポートラインを使ったシナリオ
・企業の状況を使ったシナリオ

投資目的と期間によって利用するシナリオは異なりますが、これらのシナリオをしっかり描くことさえできれば、効果的な「損切りルール」を作ることができるようになります。

この記事では、15年にわたりプロとして株・先物の「損切り」を日常的にしてきた元証券ディーラーの筆者が、みなさんに実践して欲しい「損切りのルール」について詳しく解説していきます。

kabuo-r.png かぶお

ちょっと難しそう‥💦

ここまで読んで、「少し難しいかも」と思われた人も安心してください!初心者でも作れる「損切りルール」についても合わせて解説していきます。

また、「損切り」同様に投資家を悩ませる「利食い」の方法についても理解が深まると思いますので、今後長く投資を続けていこうと思われている方は、ぜひご覧ください!

なおこの記事は、筆者が株・先物取引のプロだったことから、株の損切りルールについて書いていますが、基本的な考え方は他の投資商品にも当てはまることもあると思いますので、株以外の投資をされている方も参考にしてみてください。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

1章 損切りルールがない人がよくやる3つの失敗

「損切りルール」について解説する前に、まずは「損切りルール」がないまま株を始めると、どうなってしまうのかを見ていきたいと思います。

「損切りルール」がない人が実際にやってしまう3つの失敗
・下げの最終局面で投げる
・株を塩漬けにする
・上げ相場に乗りそびれる

これらを具体的に見ながら、「損切りルール」を決めておくことの重要性についてお話ししたいと思います。

1-1 下げの最終局面で損切りする

「損切りルール」がない人がやってしまう失敗で1番多いのが、下げの最終局面で損切りしてしまうという失敗です。

誰でも「損」をかかえるとストレスを感じるものなのですが、「損切りルール」がない人は、このストレスを長期に渡って抱え続けることになります。

そのような時にわかりやすい悪材料(天災・人災など)が出て株価が急落すると、ここぞとばかりに「損切り」をしてしまい、結果一番安いところで「損切り」をしてしまう、そんなケースはよくあるものです。

実際、「成長株投資だから損切りはしない」と言っていた人が、買値から20%程度の損をした状態で我慢したのち、急落でパニックを起こし40%安で結局「損切り」してしまったなどということを聞くこともあります。

損を抱えた状態では、冷静な判断ができないものです。

「損切りルール」を決めて投資をすれば、パニックになることもありませんので、ルールは決めておきましょう。

1-2 株を塩漬けにする

次に紹介する「損切りルール」がない人がやってしまう失敗は、株を塩漬けにするというものです。

株を塩漬けにするとは、売ると大きく損が出てしまうため、損に目をつむり、株を長期間保有し続けることをいいます。

「損切りルール」を持たずに投資を始めた初心者がよく陥る状況で、「株なんて損しかしないからやめといた方が良い」となげく投資家の多くが、この状況に陥っていることもあります。

株は、本来儲かっている状態で保有してこそ効率よく運用することができるものです。

投資効率の悪い「塩漬け」状態にならないよう、「損切りルール」をしっかり決めて実行するようにしましょう。

詳しくは、「塩漬け株とは?」の記事で解説していますので、ご覧ください。

塩漬け株がある方には、こちらの記事もオススメです。
年末恒例のお得な投資行動「損出し」とは?12月にやるべきことを徹底解説

1-3 上げ相場に乗りそびれる

最後に紹介する「損切りルール」がない人がやってしまう失敗は、上げ相場に乗りそびれてしまうというものです。

相場の世界では、たまにですが、ほとんどの株が上昇する時があります。

金融政策で緩和政策が行われている時などがそれに当たるのですが、この時は総じて相場全体が力強く上昇し、投資初心者の人でも割と簡単に儲かったりします。

ただ、そんな時でも下がる株はあるもので、そのような株を買ってしまい「損切り」をすることができないと、上昇する株に資金を振り向けることができず、儲けることができません。

上昇相場で儲けることが出来ないことは、投資家として致命的ですので、そのようなことがないよう「損切り」をうまく利用しながら、機会損失を出さないようにしましょう。

ここまで読んでいただくと、「損切りルール」を持つことの重要性が、ご理解いただけたことと思います。

 

次章では、ここで紹介した失敗をしないため、また効率よく投資をするために、みなさんに実践して欲しい「損切りルール」について紹介していこうと思います。

次のどれが間違えているかわかりますか?
1.株は短期売買で儲けるのが効率がよい
2.テクニックさえ覚えれば株に知識は不要
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2章 つかえるシナリオ別「損切りルール」3選

この章では、皆さんに実践していただきたい「損切りルール」のご紹介をします。

具体的に、以下の3つのシナリオ別に設定する「損切りルール」について解説していきます。

シナリオ別「損切りルール」
・株価を使ったシナリオ
・サポートラインを使ったシナリオ
・企業の状況(変化)を使ったシナリオ

それではひとつずつ見ていきましょう。

2-1 株価を使った損切りルール

株価を使った「損切りルール」とは、ポイントになる株価を「損切り」の地点に設定する方法です。

この方法では、あらかじめ損切りする値段が決まっているので、迷わず「損切り」をすることができます。

例えば一定期間株価が横ばいに推移した後、株価が上昇し、その上昇に乗って買い付けを行なった場合、横ばいの期間中の高値(終値ベース)の1円下で「損切り」を行うようにルールを設定することがあります。

株価を使った損切りルールの例

 

この「損切りルール」を利用するには、ポイントになる株価がどこになるかを判断する必要がありますので、「チャート」の勉強をしておく必要があります。

2-2 サポートラインを使った損切りルール

次にサポートラインを使った「損切りルール」を解説します。

サポートラインとは、一定期間の安値と安値を結んでできる線のことで、下値支持線とも呼ばれるものです。

一般的に、株価がサポートラインに近づくと買い注文が集まりやすく、株価が下げにくくなると考えられています。

買い戦略を立てた場合、サポートラインより株価が上方で推移するということがシナリオになりますので、サポートラインを株価が下回るようであればシナリオが崩れたことになり、そこで「損切り」をします。

サポートラインを使った損切りルールの例

 

この「損切りルール」を利用する場合も、正しくサポートラインを引く必要がありますので「チャート」の勉強が必要となります。

ただ、トレンドラインは慣れてしまえば非常に簡単に引けるようになりますので、試してみてください。

2-3 企業の状況を使った損切りルール

最後に、企業の状況変化を使った「損切ルール」についてみていきます。

これは企業の「業績・商品・サービス」など、その企業の魅力と感じたポイントが感じられなくなった時に「損切り」をするという方法です。

例えば、前年比30%の成長を期待した業績を元に投資をした場合、会社の出す報告書(有価証券報告書、決算短信など)を見て、前年比30%の成長が達成できそうにないと思った時に「損切り」をします。

その企業の「商品やサービス」が好きで投資をした場合は、それらに魅力を感じなくなった時に「損切り」します。

この「損切りルール」は上の2つの「損切りルール」と違い、値段で損切りを行いませんので、見立てを間違えると上2つの「損切りルール」を用いた場合よりも大きな損を出す可能性が有るので、注意が必要です。

また、企業の成長を期待した投資手法とセットの「損切りルール」であるため、ファンダメンタルズ分析が必要になることと、長期投資以外の人には向かない「損切りルール」であることも付け加えておきます。

いかがでしたか?

ここで紹介した「損切りルール」は、株取引の経験がある程度あり、株取引の中級者に向かっている人には問題なく実践できると思いますが、投資の初心者には少し難しかったかもしれません。

少し難しいと感じた方は、次章で初心者でも実践できる「損切りルール」を紹介していますので、そちらを参考にしてみてください。

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3章 初心者にも実践できる簡単「損切りルール」3選

この章では、初心者でも実践できる「損切りルール」について解説していきます。

初心者向けの「損切りルール」は投資効率を求める目的もありますが、「投資資金を守る」という目的に、より重きを置いています。

投資資金が無くなってしまっては、投資家としてステップアップするチャンス、さらには投資で成功を収めるチャンスを失ってしまうからです。

具体的に、以下の3つの「損切りルール」を紹介していきます。

初心者でも実践できる「損切りルール」
下落率をベースにした損切りルール
金額をベースにした損切ルール
移動平均線を利用した損切りルール

それでは1つずつ見ていきましょう。

3-1 下落率をベースにした損切りルール

まず紹介したいルールは、下落率をベースにした損切りルールです。

これは、買値から一定の率で株価が下落したら、「損切り」をするというものです。

例えば、買値から5%・10%下落した値段で損切ります。

 

下落率をベースにした損切りルールの例

買値から損切りの値段を具体的に決めることができるので、初心者でも簡単にルール化することができます。

下落率を何%に設定するかは、次回の投資に障りにならない程度に設定することをオススメします。

3-2 金額をベースにした損切ルール

次に紹介するのが、金額をベースにした損切ルールです。

この損切りルールは、一定金額の損をしたら損切りをするというものです。

例えば、一回の取引で5万円、10万円の損が出たら損切りをします。

金額をベースにした損切りルールの例

これも金額が決まっているので、初心者でも簡単にルール化することができます。

損失の設定金額は、3-1で紹介した下落率の時と同様に、次回の投資に障りにならない程度に設定しましょう。

3-3 移動平均線を利用した損切りルール

最後に移動平均線を利用した損切りルールを紹介します。

これは、チャート上に描かれた※移動平均線を株価が下から上に抜ければ買い、逆に上から下に抜ければ売るという投資戦略を利用したやり方です。

※移動平均線・・・一定期間の価格の終値の平均値を繋ぎ合わせた折れ線グラフ。期間は5日、25日、200日などがある。

買い戦略を立てた場合、移動平均線より株価が上方で推移するということがシナリオになりますので、移動平均線を株価が下回るようであればシナリオが崩れたことになり、そこで損切りをします。

移動平均線を利用した損切りルールの例

移動平均線を利用した損切りルールは、非常に一般的に知られているやり方で、初心者の人でもすぐできると思います。

以上、初心者にも簡単に実践できる「損切りルール」を3つ紹介しました。

「損切りルール」を持っていない初心者の人は、これらのルールから始めてみてもいいと思います。

 

4章 損切りルールと一緒に覚えておきたい利食いルール

この章では、投資がうまくいった場合の「利食いルール」について少し触れていこうと思います。

というのも、

・「損切りルール」で悩んでいる人は、「利食いルール」でも悩んでいるケースが多い
・この記事で紹介した「損切りルール」には、「利食いルール」として使えるものもある

からです。

具体的に、以下の3つの「利食いルール」を紹介していきます。

利食いルール
・あらかじめ目標を定めて利食う
・買った時のシナリオがくずれたら利食う
・買値と高値からポイントを定めて利食う

それではみていきましょう。

4-1 あらかじめ目標を定めて利食う

目標が定めやすい場合は、まずはそこを利食いポイントに設定しましょう。

新高値を更新している株でもない限り、株にはそれぞれに参加者が意識しやすい価格帯というものがあるものです。

例えば、相場に開いた※窓であったり、ボックス相場のレンジの上下限などが目標として定めることができると思います。

※窓・・・連続したローソク足などのチャート(ヒゲ含む)が重ならない空白(箇所)のこと

目標を達成したら利食いを入れるというルール

目標を達成したら利食いを入れるというルールがあれば、利食いポイントで悩むことも少なくなると思います。

4-2 買った時のシナリオがくずれたら利食う

この方法は、2-2,2-3と3-3で紹介した「損切りルール」がそのまま「利食いルール」として使えます。

各「利食いルール」は以下の通りです。

2-2 サポートラインを株価が下回ったら
2-3 企業業績など、当初の期待値を下回ったら
3-3 移動平均線を株価が下回ったら

4-3 買値と高値からポイントを定めて利食う

最後に紹介する「利食いルール」は買値と買ったあとに付けた高値から利食いポイントを決めるやり方です。

このやり方は、ある程度利益を確保しながら利益の拡大を模索するやり方です。

例えば、買値と買ったあとにつけた高値の50%程度に利食いポイントを置くことによって、最低限欲しいと思う利益を確保することができます。

高値を更新するごとに利食いポイントを引き上げることで、確保できる利益も大きくなっていきます。

買値と高値からポイントを定めて利食う

この利食いポイントの設定は、買値から、短期投資で5〜7%、中長期投資で10〜15%程度上昇してから設定するようにすれば、目先の株価の動きに翻弄されることなく設定することができると思います。

また、この方法は単独で使うだけでなく、4-1,4-2で紹介した利食いのルールと組合わせることで、より戦略的な「利食いルール」にバージョンアップすることもできます。

 

以上、「損切りルール」と「利食いルール」についてみてきました。

あくまで今回取り上げたルールは一例であり、必ず「こうしなければならない」ということではありません。

各ルールは、投資家それぞれの投資環境やスタイルによって使い勝手が良いものにカスタマイズされていくべきものだと考えています。

この記事を読んだ皆さんが、機能する「損切りルール」を作ることができ、今後の投資でリスクコントロールをしながら最大限に投資パフォーマンスを上げることができますように、心から願っております。

まとめ

1章 損切りルールがない人がよくやる3つの失敗

・下げの最終局面で投げる
・株を塩漬けにする
・上げ相場に乗りそびれる

2章 つかえるシナリオ別「損切りルール」3選

・株価を使った損切りルール
・サポートラインを使った損切りルール
・シナリオを使った損切りルール

3章 初心者にも実践できる簡単「損切りルール」3選

・下落率をベースにした損切りルール
・金額をベースにした損切ルール
移動平均線を利用した損切りルール

4章 損切りルールと一緒に覚えておきたい利食いルール

・あらかじめ目標を定めて利食う
・買った時のシナリオがくずれたら利食う
・買値と現在値から利食いポイントを定める

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