「投資信託は儲からない」と言われても、私たち投資家が投資信託をやる理由

投資家だけが知っている⁈投資信託は儲からないのにやった方がいい理由

投資をしている人、もしくはこれから投資を始めようと思っている人の中には「投資信託は儲からない。」と思っている方も多いのではないでしょうか。

確かに、投資信託は短期では儲かりにくい投資先です。

株式投資においては、選び方次第では投資資金が2倍や10倍になる銘柄もあります。その反面、投資信託だと年率10%あればいい投資銘柄と言えます。

せっかく投資をするなら儲かる投資をしたい!と思いますよね。

しかし、儲からないことを理由に投資信託への投資を断念するのは、非常にもったいない話です。なぜなら投資信託は株式投資とは違い、安定的に利益を生み出す可能性のある投資先だからです。

実際に私も様々な投資先に投資をしていますが、一番安定して利益をだし続けているのは投資信託になります(もちろん銘柄選びも重要になってきます)。

投資信託で儲かる人と儲からない人の違いは、投資信託の特徴を理解しているかどうかです。儲けたいと思う人の中には短期間で早く利益が欲しいと思っている方が多いと思います。

しかし、投資信託は長期的に運用することでその効力を発揮します。投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏もインデックスファンド(投資信託の一種)への投資を推奨しています。
※厳密に言えばS&P500指数のインデックスファンドへの投資を推奨

私の周りの投資家も、ほぼ全ての方が投資信託へ投資をしています。投資信託の特徴を理解することで、将来的にリターンを得られると考えているからです。

そこでこの記事では、

  • なぜ投資信託は儲からないと言われているのか
  • 儲からない投資信託の特徴
  • 投資信託をしないと損をする理由
  • 投資信託で儲ける方法
  • 投資信託への最適な資産配分の割合

をお伝えしたいと思います。

投資信託への投資に抵抗のある方も、この記事を読むことで理解が深まり、自分は投資信託に投資するべきなのかの、どれくらいの割合を投資信託に回した方がいいのか、判断ができるようになっているはずです。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

投資信託が儲からない4つの理由

一般的に投資信託は儲からないと言われていますが、なぜそう言われるのか、その理由を4つお伝えします。

投資信託が儲からない4つの理由
  • 他の投資と比較してリターンが低い
  • 運用中に手数料がかかる
  • 税金がかかる
  • 儲からない商品選びをしている

それぞれ詳しくみていきましょう。

他の投資と比較してリターンが低い

冒頭にもお伝えしたように、投資信託のリターンは他の投資に比べ低い傾向にあります。

なぜなら、投資信託はいくつかの投資先をひとつのパッケージにした商品なので、組み合わせた投資先のリターンが平均化されます。

例えば、ABCの3銘柄が組み合わさった投資信託を購入した場合、A株の運用成績が50%と高い数字を出しても、BCの運用成績が悪ければ全体的なリターンは下がってしまいます。

逆に、A株にだけに投資をしていれば50%のリターンがあったことになります。

投資信託の運用リターンは良くても10%程度です。他の投資先では資産が2倍10倍と増える可能性がありますが、投資信託でのリターンはそれほど大きくないことが儲からないと言われる理由です。

運用中に手数料がかかる

投資信託が儲からないと言われている理由の一つに、手数料が挙げられます。コストが多くかかってしまうと、儲けが出たとしても受け取る利益は減ってしまいます。

投資信託には下記3つの手数料が存在します。

  • 購入時(販売手数料)購入金額の1〜3%
  • 運用中(信託報酬)0.2〜2%
  • 売却時(信託財産留保額)0.1〜0.5%

特に他の投資先と違い、投資信託は運用中にも手数料がかかってきます。

冒頭でもお伝えしたように、投資信託では年率10%あればいい投資信託と言えます。その利益から手数料が引かれるので、実際に受け取る金額が減ってしまいます。それが投資信託で大きな儲けを出すのが難しい理由です。

最近では購入時や売却時の手数料のない投資信託も増えています。少しでも受け取る金額を多く出来るよう、手数料は必ずチェックするようにしましょう。

税金がかかる

投資ででた利益には20.315%の税金がかかります。それは投資信託も同様です。

例えば、投資先の投資信託にて10万円の利益が出た場合、受け取れる金額は税金を差し引いた約8万円となります。

税金は投資信託を売却してでた利益にもかかりますし、分配金としてもらえる金額にもかかってきます。要は、私たちが受け取れる金額は、手数料だけでなく税金を差し引いた金額、ということになります。

先ほどからお伝えしている通り、投資信託はその性質上、利益率が飛び抜けて高い投資先とは言えません。利益が少ないにも関わらず、手数料と税金が利益から差し引かれてしまいます。それ故、大きな儲けを出すのが難しいのです。

儲からない投資信託を選ぶと、損する確率が上がる

投資信託が儲からないと言われる最後の理由は、投資先選びの難しさが挙げられます。

投資信託の種類は約6,000本あります。その中から利益のでる優秀な投資先を探すのは、至難の技と言えます。

では銀行や証券会社の営業マンに選んでもらえばいいのではないか。彼らは投資のプロなので、儲かる商品を提案してくれるはず。と思うかもしれません。

しかし、そう思っている方は注意が必要です。

なぜなら、営業マンが顧客目線の商品を提案しているとは限らないからです。手数料が割高だったり、販売する側に有利な商品を購入させられるケースが多くあります。

実は、選んではいけない(儲からない)投資信託の特徴があります。その特徴を知っておくだけでも、儲からない投資信託を選ぶ確率が低くなりますので、次の章で詳しく紹介していきたいと思います。

儲からない投資信託の特徴3選

多くの人が投資しがちな、儲からない投資信託の特徴を3つ紹介します。

選んではいけない投資信託3選
  • 手数料が高い投資信託
  • テーマ型の投資信託
  • たこ足配当の投資信託

それぞれ詳しく見ていきましょう。

手数料が高い投資信託

先ほどの章「投資信託が儲からない理由」にも挙げました、手数料に関してです。コストがかかるとその分受け取れる利益が減るとお伝えしました。

ですので、手数料はできるだけかからないものを選ぶようにしましょう。

たかが数%の手数料でも、最終的な運用結果は変わってきてしまいます。

実際に、手数料が違うと手元に残るお金にどれくらい変化があるのかシミュレーションしてみましょう。

前提条件として、毎月3万円の積立投資を年率5%、20年間運用したとします。手数料0.09%と手数料2%の2パターンでみていきます。

画像を見てもらうと分かるとおり、20年後の総額は、

  • 手数料0.09%の場合:1,210万円
  • 手数料2%の場合:983万円

になり、227万円も差が出てしまいました。20年間毎月1万円無駄にしているようなものです。

もちろん投資商品によって投資対象もリターンも違いますので、一概には言えませんが、手数料が少し変わるだけで手元に残るお金に変化がでることを分かってもらえたと思います。

チェックするべきポイント
  • 手数料は低いものを選ぶようにする
  • 最近では購入時・売却時に手数料のかからない投資信託もあるので、そのような投資信託を選ぶようにする
  • 高い手数料の投資信託全てが悪いわけではありません。過去の実績はどうなのか、手数料を加味してでも大きなリターンを出せているのであればOK

 

テーマ型の投資信託

テーマ型の投資信託とは、その時に流行っているテーマを題材にした投資信託です。例えば、AIや5G、オリンピックといった、その時々で話題になっているテーマに関連する企業に投資をする投資信託です。

そのようなテーマ型の投資信託は、商品化された頃には既にピークを過ぎていることもあり、ブームが去ってしまうと基準価格が下落してしまう傾向にあります。

特に、金融機関の窓口で「今話題の投資信託です」「皆さん購入されている今人気の投資信託です」と言われると投資したくなってしまいますが、注意が必要です。

実際に私もテーマ型の投資信託を購入して失敗した経験があります。当時、証券会社内で人気No1の投資商品に投資をしたところ、数ヶ月で利益がマイナスになりました。結局プラスに戻ることはなく損切りをし、テーマ型の投資信託の怖さを知った苦い経験になりました。

長い目で見て将来性のある投資先なのか、しっかり考えるようにしましょう。

チェックするべきポイント
  • 今流行の投資信託なのかを確認する
  • 長い目で見て成長性のある投資先なのか考える

 

たこ足配当の投資信託

たこ足配当とは、十分な利益がでていないにも関わらず、配当金を出すことをいいます。配当金の種類は2種類あります。「普通配当金」と「特別分配金」です。

運用している投資信託から利益がでている場合「普通分配金」として配当がもらえます。利益が出ていない場合は「特別分配金」として配当が受け取れます。利益が出ていないのに配当がもらえのは不思議ですよね。

この「特別分配金」どこから配当資金が出ているのかというと、投資家の元本から捻出されています。投資元本を削って配当金を受け取っているということになります。

これでは投資元本が減ってしまい、結果的に運用リターンが低くなってしまいます。儲けるどころか、資産を減らしてしまう可能性があります。

配当金をもらえるのは嬉しいことですが、積極的に資産を増やしていきたいのであれば、配当金は受け取らずに再投資することをオススメします。

チェックするべきポイント
  • 毎月分配型の投資信託には気を付ける
  • 特別分配金ありの投資信託なのか確認する

 

投資家は知っている!投資信託で儲ける方法

ここまで読んできた方の中には

悩む会社員 

やっぱり投資信託は儲からないからやらないかな〜

と思った方も多いのではないでしょうか。しかし、それが理由で投資信託への投資をやらないのは非常にもったいない話です。なぜなら投資信託の仕組みを知り、上手に使えば将来的に大きなリターンを得ることができる可能性があるからです。

投資信託で大きなリターンを得る方法は「長期・積立・分散」投資をすることです。

長期・積立・分散投資に関しては後ほど詳しくお伝えしますが、その前に投資信託のメリットをお伝えしたいと思います。

投資信託の最大のメリットは、基本的にほったらかしで良いという点です。

株式投資では、相場の上がり下がりに一喜一憂し精神的にもダメージを負ったり、株価や関連ニュースを確認しなければいけないため、時間を取られてしまいます。

その反面、投資信託での投資は基本的に相場を気にする必要もなく、精神的に安定して投資を行うことが可能です。株式投資など、他の投資先で大きな儲けを出したい人にとっても、精神の安定剤として投資信託を利用するのをオススメします。

実際に私も投資信託での積立投資と株式投資を行っていますが、投資信託でのリターンが安定してくれているおかげで、株式投資で損失が出た場合の精神的ダメージを軽減してくれています。

下記画像はつみたてNISAを利用した投資信託への運用成績です。1年8ヶ月積み立てた結果ですが、株式相場が悪い中でも、リターンはプラスになっています。

資産形成の土台として着実に資産を築く一歩目が投資信託であると言えます。

投資信託は長期的に続けることで大きなリターンが期待できる投資先です。話を戻し、投資信託で大きなリターンを得る「長期・積立・分散」投資について詳しく解説していきたいと思います。

長期・積立・分散投資を行う

投資信託で大きなリターンを狙うなら、長期・積立・分散投資を意識するようにしましょう。

「長期・積立・分散投資」は「短期・集中投資」に比べて成果が出しやすく、再現性のある投資手法になっています。

長期・積立・分散投資は金融庁も推奨する、リスクを抑えた投資手法です。10年以上の長期間、毎月一定額をコツコツ積立し、投資対象を分散する投資方法です。

長期で運用することにより、リターンは安定してきます。

下記のデータは、5年と20年の投資リターンの割合を表したグラフになります。短期(5年)ではリターンは安定せず、元本割れを起こしてしまっていますが、長期(20年)になるとリターンが安定しているのが分かります。

長期投資運用成果の違い

出典:金融庁 つみたてNISA早わかりガイドブック

積立投資では、定期的に一定額を購入(例えば、毎月1回1万円分を購入)することで、平均取得単価を抑える効果が期待できます。投資金額が決まっているため、基準価格が高い場合には少なく購入し、安い場合には多く購入することができます。投資用語でドル・コスト平均法と言います。

ドル・コスト平均法とは株式や投資信託などの金融商品の投資手法の一つ。定額購入法ともいう。金融商品を購入する場合、一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して投資する。例えば「予定資金を12分割して、月末ごとに資金の1/12を投入し、一年かけて全量を買う」という手法。出典:Wikipedia

決まった時期に決まった額を購入するため、購入するタイミングを選ぶ必要がありません。

画像出典:金融庁 長期・積立・分散投資とNISA制度

分散投資では、投資先を分散することでリスクを抑えます。

画像出典:金融庁 長期・積立・分散投資とNISA制度

投資信託で将来的に大きなリターンを目指すには、この「長期・積立・分散」投資を覚えておくようにしましょう。

具体的には、成長力のある米国株や世界株のインデックスファンドを長期的に運用すると良いでしょう。

投資信託の選び方は下記の記事を参考にしてください。

あなたに合った投資信託の選び方が分かる!投資家オススメ銘柄も公開

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将来的にどれくらい儲けがでるかシミュレーション

では、長期・積立・分散投資を行うと、将来的にどれくらい利益が出るのか、シミュレーションしてみましょう。

毎月3万円・5万円・10万円を年利7%の投資信託へ20年間投資した場合の結果がこちらです。

全てのパターンで2倍以上になっています。
※注意※あくまでシミュレーションですので、必ずこうなるとは言えません。

毎月10万円を積立た場合のシミュレーショングラフで見てみましょう。

画像出典:金融庁 資産運用シミュレーション

年数が経つにつれて、リターン(黄色のグラフ)が大きくなっているのが分かります。投資信託はこのように、長い年月をかけることで大きなリターンを得ることができます。

投資信託への最適な資産配分の割合

投資信託は長い年月をかけることで、大きなリターンを見込めると分かっていただけたと思います。

しかし、この記事を読んでいる方の中には、長い期間待っていられない。と思っている方も多いのではないでしょうか。そういう方は投資信託への投資をするべきではないのか、もしするとしたらどれくらい投資資金を投資信託へ回すべきなのか。

この章では、ご自身にあった最適な資産配分の割合をお伝えしたいと思います(あくまで目安の数字です)。

投資をする目的や目標金額、投資可能金額は人によって様々です。そこで、まずは投資をする目的、目標金額、いつまでにそれを叶えたいのかを考えてみるようにしましょう。それによって投資対象や投資手法が変わってくるため、大事な作業になります。

例えば、下記のような方がいるとします。

  1. 30年後に3,000万円の老後資金を貯めたい
  2. 15年後の早期リタイアのための資金が1億円欲しい

①であれば、投資信託での積立投資を推奨します。②であれば、株式投資などリスクのある投資を積極的に行っていく必要があります。

どれくらいの割合を投資信託への投資に回すべきか、人によって変わってきます。下記の図を参考に、ご自身にあった投資の割合を探してみてください。

 

生活防衛資金の用意がない方

生活防衛資金が用意できていない方は、生活防衛資金を準備してから投資を行うようにしましょう。

生活防衛資金とは、不慮の事故などで働けなくなった場合など、万が一に備えておく予備資金になります。手元に現金で持っておくことが望ましいです。

生活防衛資金は、最低でも3ヶ月分の生活費を用意しておくようにしましょう。

老後資金の用意がない方

つみたてNISAやiDeCo(イデコ)などの税優遇が受けられる制度を利用して、投資信託へ投資をしましょう。毎月の投資金額は、老後必要資金を逆算して算出しましょう。

例えば、30年後に老後資金2,000万円欲しいとします。投資信託のリターンが5%だと毎月2.5万円必要ですし、リターン10%であれば毎月1万円の積立で十分です。
※あくまでシミュレーションになります。

計算は金融庁の「資産運用シミュレーション」を利用するといいでしょう。

投資信託のリターンは過去の実績を参考にしましょう。

老後に必要な資金は投資信託を利用して準備することをオススメします。それでも毎月余剰資金がある場合は、他の投資を検討しても良いと言えます。

生活防衛資金・老後資金いずれも用意できている方

そんな方は、まずはご自身のリスク許容度を把握するようにしましょう。リスクを取ってでも積極的に資産を増やしていきたいのであれば、個別株投資などにチャレンジすると良いでしょう。そのような方は、投資信託に回す資金の割合を少なくしても(ゼロでも)問題ありません。

逆に、リスクをあまり取りたくない方は、投資信託の割合を多く設定した方が良いでしょう。その割合は、ご自身のリスク許容度に合わせて設定してください。

 

まとめ

  • 投資信託が儲からない3つの理由
    ・手数料が高い
    ・税金がかかる
    ・儲からない商品選びをしている
  • 儲からない投資信託の3つの特徴
    ・手数料が高い投資信託
    ・テーマ型の投資信託
    ・たこ足配当の投資信託
  • 投資信託で儲ける方法
    ・長期・積立・分散投資を意識する
    ・どれくらい儲けられるかシミュレーションで確認
  • 投資信託への最適な資産配分の割合
    ・まずは投資の目的、目標金額、期限を決める
    ・資産配分の割合は人それぞれ違う→チャートで確認
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