ミニ株オススメしないは本当か?投資家が考える向いていない人の特徴

皆さんは株式投資に興味を持った時、すぐに始められますか?ほとんどの人が二の足を踏むのではないでしょうか。

それはなぜか?

やはり株を始めるにはまとまったお金が必要だし、初めて投資をして失敗した時のことを考えてしまうと、簡単に株を始めることが出来ないからでしょう。

そこで、株式投資には、投資初心者でも気軽に株式を購入できるようにと、「株式ミニ投資」略して「ミニ株」というものが昔から存在します。

「ミニ株」とは、単元株(通常の取引単位:100株)の10分の1の単位で株式を取引をする方法ですが、この記事では単元未満株(100株未満)で取引できるものを「ミニ株」として扱います。

さて、この「ミニ株」ですが、少額から株式投資を始められるということで、特に株式投資の初心者が利用するにはもってこいの方法に思えるかもしれませんが、全ての株式投資を始める人にミニ株がオススメかといえば、実はそうではありません

基本的に株式投資を以下の目的で始めようと思っている人には「ミニ株」は全くオススメできません。

 

  • 短期売買で利ザヤを稼ごうと思っている人
  • 株の積立投資を株数単位で考えている人
  • 株に慣れるためにとりあえず少額で株を購入しようと考えている人

 

実はこれらの人が「ミニ株」を始めても、投資効率が悪く、望む結果を得ることができない可能性が高いのです。

この記事では証券会社に20年在籍した、元証券ディーラーでAFPの筆者が、「ミニ株」をおすすめしない人、反対に「ミニ株」を積極的に利用してほしい人について、その理由をひとつづつ示しながら詳細に解説しています。

また、株式の積立投資に「ミニ株」をどのように使うと効果的なのか、についても「1章.1-2株式の積立投資を考えている人」で解説しています。

「ミニ株」のご利用をお考えの皆さんや、今後本格的に株式投資をやってみようとお考えの皆さんには、非常に参考になると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

監修者:市川雄一郎 監修者:市川雄一郎 
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。 グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、講演依頼、メディア出演も多数。著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え」(日本経済新聞出版)

公式X アカウント 市川雄一郎@お金の学校 校長

「ミニ株」をオススメしない人3選

株を始める時、手始めに株を買う方法として「ミニ株」を利用することは悪いことではありませんが、以下の人には「ミニ株」をオススメすることはできません。

  • 短期売買で利ザヤを稼ごうと思っている人
  • 株の積立投資を「株数単位」で考えている人
  • 株に慣れるためにとりあえず少額で株を購入しようと考えている人

その理由も含め、ひとつずつ解説していこうと思います。

1-1 短期売買で利ザヤを稼ごうと思っている人

短期売買で利ザヤを稼ごうと考えている人には、「ミニ株」は全くオススメできません。

その理由は、主に以下のようなミニ株のデメリットがあるからです。

  • 取引時間中に自由に売買できない
  • 売買の手数料が高い

ミニ株のデメリット ①取引時間中に自由に売買できない

まず、短期売買で利ザヤを稼ごうと思っている人に「ミニ株」をオススメしないのは、取引時間中に株を自由に売買することができないという理由からです。

株の短期売買を行う上で一番重要な要素は、いかにタイミングよくポジションを取る(株を買う)ことができるかということです。

タイミングよくポジションが取れなくては、株の短期売買でリスクをコントロールしながらコツコツ利益を積み上げていくことはできません。

単元株(通常取引における最低取引単位:日本株は100株)であれば取引時間中(9時〜11時半 12時半〜15時)であれば、いつでも自由に株の売買ができますが、「ミニ株」の場合はできません。

例えばSBI証券の「S株」の場合注文時間と約定時間は以下の通りになります。

注文時間

0:00~7:00

7:00~10:30

10:30~13:30

13:30~24:00

約定タイミング

当日前場始値

当日後場始値

当日後場後場引け(終値)

翌営業日前場始値

9:00約定

12:30約定

15:00約定

翌9:00約定

                   SBI証券 単元未満株(S株)取引ルールを元に作成

ミニ株のデメリット ②売買の手数料が高い

次に短期売買で利ザヤを稼ごうとしている人に「ミニ株」をオススメしないのは、「ミニ株」の売買手数料が割高になるという理由からです。

「ミニ株」は、最低手数料(50円〜550円)を定めている会社も多く、購入金額によっては手数料が恐ろしく割高になることもあり得るのです。

株の短期売買は、短い期間に何度も取引を繰り返し、コツコツ利益を積み上げていく取引です。取引のたびに割高な売買手数料を取られていては、利益を積み上げていくことが困難になってしまいます。

これらの理由から、短期売買で利ザヤを稼ごうとしている人に「ミニ株」はオススメできないのです。

1-2 株の積立投資を株数単位考えている人

「ミニ株」は、株の積立投資を「株数単位」で考えている人にも全くオススメできません。

株の少額投資を考えている人の中には、毎月決まった株数を買い付けることを考えている人も多いと思います。

しかし、毎月決まった株数を購入して株の積立投資をすると、資本効率が悪いことがわかっています。

株式を積み立てるのであれば、一定の株数ではなく一定の金額で積み立てる、いわゆるドル・コスト平均法を利用した方が、お得に積み立てることができるのです。

株の積立投資

例をあげて見てみましょう。

 

ドルコスト平均法、同一株での購入例

見ていただいた通り、株のように価格が変動する商品を積み上げるのであれば、株価が高いときは少量の株数を、株価が安い時にはより多い株数を積み立てることができる、ドルコスト平均法の方が有利に積み立てることができるので、「株数単位」で株を積み立てる場合は「ミニ株」を利用することはオススメしません。
※証券会社によっては金額単位で取引できるところもあります

株の積立投資をする場合は、「株数単位」ではなく「金額単位」で積み立てるようにしましょう。

1-3 株に慣れるためにとりあえず少額で株を購入しようと考えている人

株に慣れるためにとりあえず少額で株を購入しようと考えている人にも、「ミニ株」はオススメしません。

これこそが「ミニ株」をする一番の動機になるのでは?と思われる方も多いと思います。

しかし、少額で株を買っても株に慣れることはできませんし、それどころかあなたの投資家としての成長を妨げることにもなりかねないのです。

株とは、損をしながらトータルで資産を増やしていく投資商品です。どんな達人でも必ず損をします。

そこで、「リスクコントロール」のスキルを身につけることが、株をする上で重要になってくるのですが、株に慣れる目的で「ミニ株」を安易に始めると、損をしても痛くもかゆくもないため、「リスク」に対して非常に鈍感になってしまい、「リスクコントロール」のスキルを身につけることができなくなってしまいます。

「リスクコントロール」のスキルを身につけないまま株取引を続けると、株に慣れていざ大きく取引を始めた時に大損をすることになりかねません。

以上のことから、株に慣れようと安易に「ミニ株」を始めることはオススメできないのです。

ここまでは「ミニ株」の利用をオススメしない理由を、投資家別に説明してきましたが、次章では反対に「ミニ株」をぜひ活用して欲しい人について触れていこうと思います。

「ミニ株」を活用してほしい人はこんな人

1章では、「ミニ株」の利用をオススメしない人について話してきましたが、この章では「ミニ株」を積極的に活用して欲しい人についてお話をしていきます。

「ミニ株」を積極的に活用して欲しい人は以下のような人たちです。

  • 買いたい株が単元株で買えない人
  • 株式の勉強が一通り終わり、勉強内容を確認したい人

それではひとつずつ確認していきます。

2-1.買いたい株が単元株で買えない人

買いたい株がはっきりと決まっているんだけれども、単元株で買うことができない人は、ぜひ「ミニ株」を活用して欲しいと思います。

株の中には、個人投資家が単元株で買うには高すぎる株があります。

例えば任天堂やファーストリテイリング(ユニクロ)といった会社を単元株で買おうとすると、500〜800万円程度のお金が必要です。

値段が高い株には世界的に活躍している会社も多く、投資をしてみたいと思う人もいるでしょう。

そのような株を買うときは「ミニ株」を使えば無理なく株を買うことができます。

株は無理をしてまでするものではありません。

できる範囲で無理なく投資をした方が長く続けられますし、長く続けられればその分、成功するチャンスも多くなります。

無理なく投資を続けるためにも、買いたい株が決まっていて単元株で買えない場合は、「ミニ株」を活用するようにしましょう。

ちなみに「ミニ株」でも保有株数に応じて配当金を受け取ることができます。配当金が欲しい投資家さんも安心して「ミニ株」を利用して下さい。

2-2.株の勉強が一通り終わり、勉強内容を確認したい人

株の勉強が一通り終わり、学んだことを確認するために少額で株を始めようとしている人は、積極的に「ミニ株」を利用していきましょう。

特に中長期投資家で、売買ルールをある程度決めることができるようになった人には「ミニ株」をオススメします。

売買ルールとは、200日移動平均線を株価が上回ったら買うとか、買ってからある一定のマイナスが出たら※損切りをするなど、株の売買をするための「決まり事」のことです。  
                    ※損切り・・・損が出ている状態で取引に見切りをつけ、損失を確定させること

株式の勉強が一通り終わり、売買ルールをある程度決めることができるようになった投資家は、その売買ルールが投資を成功させるために機能するルールかどうかを確認する作業が必要になります。

その確認作業を行うのに、「ミニ株」はうってつけの投資方法なのです。

売買ルールが機能しないのであれば、機能するようになるまで売買ルールを見直すことになります。

売買ルールは、実際に投資をしながら見直すことが普通ですので、損失が出ることもあります。「ミニ株」であれば損失額を気にする必要もないので、思う存分売買ルール作りができるわけです。

「ミニ株」を利用して試行錯誤を重ねながら売買ルールを完成させることができれば、株式投資のスキルも格段に向上していることも考えられます。

株式投資を実りあるものにするためにも、株の勉強が一通り終わった人は、ぜひ「ミニ株」を利用して投資スキルの向上を図ってみてください。

「ミニ株」を始めるまでの3ステップ

ここまでは、「ミニ株」をオススメできない人、積極的に利用して欲しい人についてお話ししてきましたが、この章では、実際に「ミニ株」を効果的に利用して、株式投資のスキルを上達させるための3つのSTEPについて解説していきます。

STEP2では、各証券会社が提供する「ミニ株」のサービスも紹介していますので参考にしてみてください。

STEP1 株の勉強をする

何はともあれ勉強しましょう!

「ミニ株」に限った話ではありませんが、勉強せずに株を始めると、だいたいお金をドブに捨てることになります。

たまに相場が良い時に株を始めて、株の勉強をせずに儲かってしまう人も確かにいます。

ただ私の経験上、そういう人が投資を続けていくと、最終的に儲けた金額以上に損をしてしまうケースの方が多いようです。
そうならないためにも、株は基本的なことをしっかりと勉強してから始めるようにしましょう。

具体的にどのような勉強をすれば良いかわからないという人は、当社が無料で提供している「投資の達人講座」をまずはご覧ください。2時間程度の動画ですが、投資の本質を理解するうえで非常にお役に立つ内容になっています。

下記のような内容を無料で学ぶことができます。

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STEP2 「ミニ株」ができる証券会社を選ぶ

勉強が終わったら証券会社を選びましょう!

「ミニ株」は、証券会社ごとに『取扱銘柄・投資株数(金額)・手数料等』が異なります。

証券会社によっては、自分が買いたい株を「ミニ株」で買うことができないこともありますし、手数料が高い証券会社を選んでしまうと、「ミニ株」で投資をする意味すらなくなってしまいます。

そのようなことにならないよう、しっかりと自分に合った「ミニ株」ができる証券会社を選びましょう。

ミニ株(単元未満株)投資ができるネット証券7社

ミニ株投資ができる証券会社一覧

STEP3 いざ、出陣!「ミニ株」を始めよう

「ミニ株」で投資する証券会社が決まったら、さっそく買ってみましょう。

株を売買する際に、取引する証券会社の「ミニ株」がどの時間に注文を受付、いつの値段で売買が成立するのかを確認しておきましょう。また、購入するタイミングによって手数料が変わる証券会社もありますので、手数料を安く抑えるためにも確認しておくことをオススメします。

後は勉強したことをしっかりと実行するだけです。

ここで紹介した「ミニ株」を始めるまでの3ステップ!をしっかり読んで、皆さんも「ミニ株」を有効活用してみましょう!

まとめ

「ミニ株」がオススメできない人
・短期売買で利ザヤを稼ごうと思っている人
→取引期間中に自由に売買ができないため
→取引手数料が割高なため
・株式の積み立て投資を考えている人
→1株単位より金額単位がオススメのため
・株に慣れるためにとりあえず少額で株を購入しようと考えている人
→「リスク」に対して鈍感になってしまう可能性があるため
「ミニ株」オススメできる人

・買いたい株が単元株で買えない人
・株式の勉強が一通り終わり、勉強内容を確認したい人

「ミニ株」を始めるまでの3ステップ
Step1.株の勉強をする
Step2.「ミニ株」ができる証券会社を選ぶ
Step3.いざ、出陣!「ミニ株」を始めよう
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