株の割高・割安はPERとPBRで分かる!指標の使い方と注意点

「株式投資に出てくるPER、PBRって何? どう使えばいいの?」

株式投資をしているとこんな疑問を抱くことも多いのではないでしょうか。

PER、PBRとは、それぞれ「(PER)株価収益率」「(PBR)株価純資産倍率」のことで、どちらも株の割安感を判断するための指標です。

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)の違いは、PERが「企業の収益」に対する株価の割安・割高感を示すのに対し、PBRは、「企業の純資産」に対する株価の割安・割高感を示す点です。

PERとPBRは、割安感を示すという共通点があるものの、企業の何に対する割安感かという点で異なるため、実際に使う際には注意しましょう。

本文ではPERとPBRの定義ほか、PERやPBRは実際にどういった場面で使うのかといった活用場面や、実際の見方・使い方について紹介します。

▼この記事で分かること

  • PER・PBRとは?
  • PER・PBRの活用場面
  • PER・PBRの見方・使い方
  • PER・PBRのどちらを見るべきか
  • PER・PBRを使うときの注意点
  • EPS・BPS・ROEなど確認しておきたい他のファンダメンタル分析指標

最後まで読むことで、PER・PBRを使う上での注意点や、他にも確認しておくべきEPS・BPS・ROEといった指標についても把握することができます。ぜひ最後まで目を通し、有力銘柄選びに活用してください。

1. PERとPBRは株価の割安・割高感を知るための指標

冒頭でも触れましたが、

  • PER(株価収益率)とは、「企業の収益」に対する株価の割安・割高感を示す指標
  • PBR(株価純資産倍率)とは、「企業の純資産」に対する株価の割安・割高感を示す指標

です。

PERとPBRはともに株価の割安・割高感を判断するためのものですが、下記の点で異なります。

  • 「何に対して」割安・割高かという点
  • 割安・割高を判断する基準

株価の割安感を的確に判断するためにも、PERとPBRの意味や違いについて正確に把握するようにしましょう

以下で詳しく紹介します。

1-1. PER(株価収益率)は企業の業績に対する株価の割安感を示す

PER(Price Earnings Ratio)とは「株価収益率」のことで、株価が企業の収益に対して割安なのか割高なのかといった関係を示す指標です。

PERは、株価を純利益で割って計算することから「株価が企業の純利益の何倍で買われているか」を意味するものと言えます。

PERは、値が低いほど割安となります。

■PERの割安・割高判断の具体例
PERの判断の具体例について、次のA社とB社のケースで見てみましょう。

<PERの計算例>
 A社 株価1000円、1株当たり純利益50円
 B社 株価1000円、1株当たり純利益100円

上記ケースについて、
「PER(株価収益率)= 株価 ÷ 一株当たり純利益」に基づいて計算すると下記の通りとなります。

 A社のPER=1000 ÷ 50 =20倍……A社の株価は企業価値の20倍で買われている
 B社のPER=1000 ÷ 20 =10倍……B社の株価は企業価値の10倍で買われている

利益の20倍の株価で買えるA社よりも、利益の10倍の株価で買えるB社の方が割安となります。

■PERは「☓☓年で投資資金を回収できる」という見方でも使う
ここで、PERの意味を少し補足します。

PERは、「利益の☓☓倍で株価が買われている」という解釈ができる一方で、「現在の純利益の☓☓年分で株価を回収できる」という解釈でも使われます。

PERの計算式をもう一度確認してみましょう。

  • PER(株価収益率)= 株価 ÷ 一株当たり純利益

上の式の「1株当たりの純利益」とは、一年間の利益を指しています。上の式は株価が純利益の何年分に相当するかを計算している式とも言えます。

例えば、上の例で具体的に見てみると下記の通りとなります。

A社のPER=1000(株価) ÷ 50(純利益) =20倍 ……A社の株価は20年で回収できる
B社のPER=1000(株価) ÷ 20(純利益) =10倍 ……B社の株価は10年で回収できる

株価に投資した金額を20年で回収できるA社よりも、10年で回収できるB社の方がお得(割安)と言えます。

このように、PERは割安感を示すだけでなく、「株式購入資金を何年で回収できるか(もとがとれるか)」を考える指標としても使えます。

1-2. PBR(株価純資産倍率)は企業の資産に対する株価の割安感を示す

PBR(Price Book-value Ratio)とは、「株価純資産倍率」のことで、株価が企業の純資産(資産価値)に対して割安なのか割高なのかどうかを示す指標です。

PBRは、「株価が企業の純資産(資産価値)の何倍で買われているか」を示します。

PBRの値については、PBR=1を上回るか下回るかで割安かどうか判断されます。1を下回る方が割安、1を上回ると割高となります。

■PBRの割安・割高判断に「PBR=1」を基準とする理由
ちなみに、PBRの割安・割高を測るのにPBR=1を基準とするのは、次の理由からです。

「PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産 = 1」とは、「株価」と「1株あたり純資産」が等しいことを指します。

この「1株当たり純資産」は、仮に企業が解散した場合に株主の手元に残る価値(解散価値)に相当すると考えられています。

「PBR=1」で、この「解散価値」と「株価」が等しい場合は、仮に株価で株を購入した後に企業が解散したとしても株価と同等の価値が手元に残ります。このときの株価は「妥当な価格(適正価格)」と判断します。

株価が割安か割高かは、「妥当な価格(適性価格)」を上回るか下回るかで判断できるため、この適性価格の状態(PBR=1の状態)が割安・割高の判断基準となりました。

株価が適性価格を上回る場合、つまり「PBRが1より大きい」の場合は割高となり、株価が適性価格を下回る場合、つまり「PBRが1より小さい」の場合は割安と判断されます。

■PBRの割安・割高の判断についての具体例
PBRの割安・割高の判断について、次のA社とB社とC社のケースで具体的に見てみましょう。

<PBRの計算例>
 A社 株価1000円、1株当たり純資産500円
 B社 株価1000円、1株当たり純資産1000円
 C社 株価1000円、1株当たり純資産2000円

 「PBR(株価純資産倍率)=株価÷一株当たり純資産」に基づいて計算すると下記の通りとなります。

 A社のPER=1000 ÷ 500 =2倍
 B社のPER=1000 ÷ 1000 =1倍
 C社のPER=1000 ÷ 2000 =0.5倍

この場合、
A社=2倍=割高株 > B社=1倍=適性価格の株 > C社=0.5倍=割安株
となります。

2. PER・PBRの活用場面3つ

PERは「企業の利益に対する株価の割安感を示す指標」、PBRは「企業の資産に対する株価の割安感を示す指標」であると理解していただけたことと思います。

さらにここでは、PERとPBRをいったいどのような場面で活用するかについて紹介します。

PERとPBRを活用する場面は例えば次のような場面です。

ただし、どの場面においてもPERとPBRのみで判断することは禁物です。

PERとPBRだけでは割安・割高の評価といった特定の側面での評価しかできないため、必ず参考として挙げた他の指標などと合わせて判断するようにしましょう。

それでは具体的に見ていきましょう。

2-1. 投資する株を選ぶとき

投資する株を選ぶときに、PERとPBRを活用することができます。

PERとPBRで割安株を探し、その後、適性な価格へと株価が上昇していけば利益が得られます。

ただし、注意したい点は、PERとPBRだけでは、将来株価が適性価格へと上がるかどうかの判断まではできないことです。

今後、株価が上がるかどうかについては、他の指標を使って考える必要があります。例えば、「営業利益率(営業利益÷売上高で算出)」が上昇しているかどうかを確認するなど、別の指標で将来性や成長力を確認するようにしましょう。

2-2. 株を手放すタイミングを知りたいとき

PERとPBRは株を手放すタイミングを測るときにも使えます。

例えば、「PER15倍前後で割安に購入した株が、その後PER30倍など割高な水準で高止まりしてしまった」という場合には、その後、株価が適性価格に下落する可能性が高いあるため、株を手放す判断ができます。

ただし、PERだけでは判断できない成長性や収益性といった事情で株価が高くなりPERが高止まっている可能性もあるため、他の指標や情報と合わせて判断しましょう。

例えば、「営業利益」や「EPS(一株あたり純利益)」の推移で成長性を確認したり、技術革新や商品開発のニュースなどで将来性を確認したりするようにしましょう。

2-3. 市場全体が値下がりしているとき

市場全体が値下がりしていて株の購入を迷っている場合などは、PBRで割安株を探すことがおすすめです。

市場全体が値下がりしている場合は、普段は人気のある優良企業でも株価が下がりPBRが1以下で低迷することがあります。そうした株は相場全体が回復したときに、他の銘柄に比べて適性価格に戻りやすく、割安と言えます。

ただし、この場合も、優良企業かどうかを判断するため財務状況をよく確認する必要があります。

例えば、赤字を数年抱えていて将来純資産の取り崩しが想定されるといったケースは避けなければなりません。そのため、「営業利益」や「EPS(一株あたり純利益)」などを見るなどして財務状況を併せて確認するようにしましょう。

3. PERとPBRどちらを見るべきか

PERとPBRの活用場面についてお伝えしました。

しかし、「結局のところPERとPBRのどちらを見るべき?」と気になるのではないでしょうか。

PERとPBRのどちらが重要かについては一概には言えませんが、

  • 短期投資にはPER
  • 長期投資にはPBR

の注目度が高いと言えます。

PERは利益に対する割安感を示す指標で、利益は短期的に大きく変動するため、短期投資の分析に向いており、短期投資においては指標の使用頻度も高いと言えます。

一方のPBRは、純資産に対する割安感を示す指標で、純資産は短期的には変動しないため短期分析には向いていません。その反面、10年を超えるような長期投資を考える際には有効と言われています。

PERやPBRはどちらも重要な指標ですが、短期投資か長期投資かなど使う目的や場面によって使い分けるようにしましょう。

4. PERとPBRの見方・使い方

PERとPBRの活用場面についてお伝えしました。

次に、実際にPERとPBRを活用するにあたって、どのように使えばいいのか紹介します。

使い方については、「1. PERとPBRは株の割安・割高感を知るために抑えておきたい指標」でも下記の点について少し解説しました。

  • PERについては低い方が割安
  • PBRについては1を下回る方が割安

しかし、実際に使う際には、単に一時点あるいは一銘柄のPER・PBRの値を見るだけでは、割安か割高かの判断はできません。

実際に使う場合には、おさえておくべきポイントがあるため、以下の順で解説します。

▼PBRとPBRの見方・使い方のポイント

  • PERとPBRをどこで見るか
  • PERの実際の見方・使い方
  • PBRの実際の見方・使い方

それでは具体的に見ていきましょう。

4-1. PERやPBRは企業の証券会社や投資情報サイトの銘柄紹介などで確認できる

PERとPBRは、証券会社の銘柄検索画面、株式・投資情報サイトで閲覧・検索することができます。

多くの場合、個別銘柄ごとの紹介ページで確認できたり、高PERランキング・低PERランキングといったようなランキング形式の一覧で確認できたりします。

<PBR・PERが閲覧できるサイトの例>

ほとんどのサイトでは、PERは「予想PER」と表示されているため、PERは「予想PER」の数値で確認しましょう。

予想PERでは、「一株当たり純利益」について、過去の実績値ではなく、会社が予想した今後の決算の「純利益」を使用しています。予想純利益を使う理由は、株価が過去の業績ではなく今後の業績を想定して動くためです。

PBRについては、「実績PER」と表示されているため「実績PBR」の数値を確認します。

実績PBRでは、実績ベースの1株当たり純資産の値で計算されています。これは計算に使う純資産は短期では大きな変動がないため実績が利用されています。

PERやPBRは代表的な投資指標のため、ほとんどの証券会社のサイトや投資情報のサイトで確認できます。自分が使いやすいと思うサイトを選んで確認するようにしましょう。

4-2. PER(株価収益率)の見方・使い方

ここからは個別指標の見方を順に紹介します。

まずは、PERの見方・使い方について見てみましょう。

PERは「☓☓倍以上だと割安」といった見方をするのではなく、他の銘柄のPERなどと比較して割高か割安かを判断します。

例えば、下記のように比較して使います。

  • 日経平均株価のPER(15倍前後)と比較する
  • 同業種のPERと比較する
  • 自社の過去のPERと比較する

以下で詳しく見てみましょう。

4-2-1. 日経平均株価のPER(15倍前後)と比較する

日経平均株価のPERは長年14~16倍で推移していたこともあり、PERの目安は15倍と言われています。

PERがこの15倍よりも高いか低いかが、割安・割高の目安のひとつとなります。

ただし、2020年8月から2022年3月時点までは、コロナ禍で株価が上昇、かつ1株当たり純利益が減少したため、日経平均のPERは20~25倍前後で推移しています。

現在は東証一部市場全体のPERも割高な状況と言えます。

4-2-2. 同業種のPERと比較する

PERの相場は、業界ごとで水準が異なるため、同業種で比較します。

参考までに業種別のPERの水準を挙げると下記の通りです。

【東証一部業界別PER一覧】

業種

PER(倍)

総合

22.0

1 水産・農林業

14.7

2 鉱業

34.7

3 建設業

10.0

4 食料品

21.2

5 繊維製品

53.3

6 パルプ・紙

16.7

7 化学

19.1

8 医薬品

22.8

9 石油・石炭製品

7.0

10 ゴム製品

10.2

11 ガラス・土石製品

22.1

12 鉄鋼

22.1

13 非鉄金属

16.1

14 金属製品

11.9

15 機械

27.3

16 電気機器

25.8

17 輸送用機器

38.1

18 精密機器

26.7

19 その他製品

16.8

20 電気・ガス業

11.9

21 陸運業

22 海運業

12.2

23 空運業

24 倉庫・運輸関連

10.7

25 情報・通信業

22.8

26 卸売業

15.4

27 小売業

46.6

28 銀行業

9.9

29 証券、商品先物取引業

9.4

30 保険業

12.3

31 その他金融業

11.0

32 不動産業

14.0

33 サービス業

51.3

出典:東京証券取引所「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧(2022年3月)」

PERの高い業界としては、「1株当たり純利益」が比較的小さい業界である小売業(46.6倍)やサービス業(51.3倍)が見られます。一方でPERの低い業界としては、石油・石炭製品(7倍)といった市況関連の業界や、建設業(10倍)など業績の低迷が目立つ業界が見られます。

例えば、サービス業でPER30倍の銘柄があった場合、同じサービス業(PERの平均51.3倍)で比べるとかなり割安な銘柄と分かります。しかし、この銘柄を異業種の石油・石炭製品(PERの平均7倍)と比べてしまうと、かなり割高な銘柄といった誤った判断をしてしまいます。

このように同業種で比較しないと割安・割高の判断を見誤るため、同業種内で比較し判断するようにしましょう。

4-2-3. 自社の過去のPER(株価収益率)と比較する

PERを見るときは、同じ会社の過去のPERと比較するようにしましょう。

同じ会社でも一時的な利益の上昇でPERの値が低くなることがあります。

例えば、資産を売却したことにより一時的に利益が増え、PERの値が低くなるといったケースです。この場合、割安であっても、企業の本来の収益力に対して割安であるとは言えません。

単年の数値だけで判断すると見誤るため、過去数年のPERの推移を見て判断するようにしましょう。特に変動が大きい場合には、変動した理由・事情を確認するようにしましょう。

4-2-4. PER(株価収益率)の見方・使い方の具体例

PERを使う際には、「4-1. PERやPBRは企業の証券会社や投資情報サイトの銘柄紹介などで確認できる」で紹介した通り、証券会社のサイトや投資情報サイトを活用しましょう。

実際にPERを計算して確認しようとすると、1株当たり純利益を出すために株式数を調整するなど複雑な計算が発生しますが、証券会社のサイトや投資情報サイトでは、複雑な調整を済ませた値を確認することができます。

サイトによってはPERの値とともに「割高」「割安」の判定まで表示しているため手間が省けて便利です。

下記は、例えば「MINKABU」のサイトでPERを見た場合の例です。

【MINKABUで見た場合】
銘柄:3382 「セブン&アイ・ホールディングス」
株価:5,573円(4月15日)
株価診断:「割高」

下記は、株価を割高と判断した素材の一部です。(MINKABUでは、これ以外にも業績の推移などを考慮して「割高」と判断しています。)

出典:MINKABU(旧みんなの株式)「セブン&アイ・ホールディングス (3382) : 株価診断・理論株価

上記、MINKABUで見る「セブンアンドアイホールディングス」のPERの例では、最新の値(23.34倍)について、過去(19.99倍)との比較や、類似他社の平均値(20.05倍)との比較を行っています。また、PERに加えてPBRの動向や、直近2年間の業績の推移、株価の過去3ヶ月の実績なども考慮して「割高」と判断されています。

以上のように、サイトによってPERの算出方法や判定方法が若干異なるため、利用する際には同じサイトないで数値比較を行うようにしましょう。

4-3. PBR(株価純資産倍率)の見方・使い方

PBRの具体的な見方・使い方について、紹介します。

PBRは「1-2. PBR(株価純資産倍率)は企業の資産に対する株価の割安感を示す」でも解説した通り、「PBR=1」が、割安・割高の判断基準となります。

しかしPBRの場合でも、この判断基準に合わせて

同業種のPBRと比較する
自社の過去のPERと比較する

といった使い方をすることが大切です。

以下で詳しく見てみましょう。

4-3-1. 同業種のPBR値と比較する

PBRも業種によって水準が異なるため、同業種と値と比較しましょう。

業種別のPBRの水準は下記の通りです。

【東証一部業界別PBR一覧】

業種

PBR(倍)

総合

1.2

1 水産・農林業

1.1

2 鉱業

0.5

3 建設業

0.8

4 食料品

1.2

5 繊維製品

0.7

6 パルプ・紙

0.5

7 化学

1.1

8 医薬品

1.3

9 石油・石炭製品

0.7

10 ゴム製品

0.8

11 ガラス・土石製品

0.9

12 鉄鋼

0.5

13 非鉄金属

0.8

14 金属製品

0.6

15 機械

1.3

16 電気機器

1.8

17 輸送用機器

0.8

18 精密機器

1.6

19 その他製品

1.5

20 電気・ガス業

0.7

21 陸運業

1.0

22 海運業

1.8

23 空運業

1.1

24 倉庫・運輸関連

0.8

25 情報・通信業

2.3

26 卸売業

0.9

27 小売業

1.7

28 銀行業

0.3

29 証券、商品先物取引業

0.7

30 保険業

0.8

31 その他金融業

0.9

32 不動産業

1.1

33 サービス業

2.4

出典:東京証券取引所「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧(2022年3月)」

PBRの水準の高い業界としては、情報通信業(2.3倍)、サービス業(2.4倍)などがあります。一方で、PBRの低い水準の企業としては、銀行業(0.3倍)があります。

例えば、PBR0.4倍の銀行の場合、0.4倍という水準は「PBR=1」を下回るためかなりの割安銘柄と思われてしまいますが、銀行業の水準(PBR0.3倍)と比較すると、決して割安な銘柄でないことが分かります。

このように同業種間で比較をしないと、割安・割高の判断を誤るので気を付けましょう。

4-3-2. 同一会社の過去のPBRと比較する

PBRの場合も、PERと同様に、同じ会社の過去のPBRと比較するようにしましょう。

PBRの場合、長年の間1より小さいまま推移している企業も少なくありません。そうした企業の場合は、今後も適性価格に株価があがる可能性が見込めず、一概に割安銘柄とは言えません。

こうしたケースもあるため、単年のPBRを見るのでなく、過去の推移と見比べて確認するようにしましょう。

4-3-4. PBR(株価純資産倍率)の見方・使い方

PBRを使う場合にも、「4-1. PERやPBRは企業の証券会社や投資情報サイトの銘柄紹介などで確認できる」で紹介した通り、証券会社のサイトや投資情報サイトを活用しましょう。

PBRの数値について、ここでは、「Yahoo!ファイナンス」で見てみましょう。

サイトによっては、PBRの値だけでなく「割高」「割安」の判断まで提示しているケースがありますが、Yahoo!ファイナンスでもPBRについて「割安」「割高」「妥当」の判断まで提示しています。

【Yahoo!ファイナンスで見た場合】
銘柄:3382 「セブン&アイ・ホールディングス」
株価:5,573円(4月15日)
株価診断(PBR基準):「妥当水準」

下記は「妥当水準」と判断された材料です。

出典:Yahoo!ファイナンス「3382 セブン&アイ・ホールディングス – IFIS株予報 」

Yahoo!ファイナンスで見る「セブンアンドアイホールディングス」のPBRの例では、最新の値(1.65倍)で「妥当水準」と判断されています。

Yahoo!ファイナンスでは、各銘柄ごとに、四半期ごとの実績値から算出した一株当たり純資産と直近 75 日間の PBR の推移を使って、妥当と考えられるPBRの水準を推計しています。

セブンアンドアイホールディングスの場合、1.53倍~1.82倍の間であればPBRは「妥当水準」と判断されます。最新の値(1.65倍)はこの水準の間にあるため、割安でも割高でもなく「妥当」と判断されています。

このようにPBRの値はサイトごとに算出や判断の定義が若干異なるため、数値を利用する際には、同じサイト内の数値と比較するようにしましょう。

5. PERとPBRを使うときの注意点

PERとPBRの見方・使い方を紹介しましたが、それぞれを失敗なく使うためには注意すべき点があります。

具体的には次のような点です。

【PERとPBRを使うときの注意点】

PERを使うときの注意点

PBRを使うときの注意点

赤字企業には使えない

短期投資の判断には使えない

特別損益などで一時的に大きく変動することがある

割安の裏にリスクをはらむ場合がある

予想PERは予想が外れると大きくずれる

創業期の企業は割高と評価される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

5-1. PER(株価収益率)を使う時の注意点

PERを見る時の注意点をは次の3つです。

PERを使うときの注意点

赤字企業には使えない

特別損益などで一時的に大きく変動することがある

予想PERは予想が外れると大きくずれる

順に解説します。

5-1-1. 赤字企業には使えない

赤字企業の場合、PERは使えません。

なぜなら、赤字企業の場合、PERの計算の分母となる純利益がマイナスとなるため、PERを計算することができないからです。

このため赤字企業の場合は、PERで割安・割高の判断をすることができません。

5-1-2. 特別損益などで一時的に大きく変動することがある

PERは、土地の売却や保有有価証券の評価などから得られた特別利益によって、一時的に大きく変動することがあります。また、そうした特別利益がなくなった翌年にも、PERは反動で逆方向に跳ねる傾向があります。

特別損益などの一時的な利益で、PERは大きく変動するため、単年のPERだけで判断することは避けるようにしましょう。

PERを利用する場合には、最低でも2~3年以上にわたって見るなど、過去の推移を確認することが大切です。

5-1-3. 予想PERは、純利益の予想が外れると大きくずれる

予想PERは、純利益の予想が外れると大きくずれることがあります。

4-1. PERやPBRは企業の証券会社や投資情報サイトの銘柄紹介などで確認できる」で、PERの計算には、予想の一株当たり純利益を使った予想PERを使うことが多いことを紹介しました。予想純利益には、企業自身が出している「会社予想」の値や、アナリストが推計した予想値などが使われています。

これらの数値は、リーマンショックやコロナのような経済環境の急激な変化が起きたり、事故や事件で事業が急激に悪化したりした場合には、外れることがあります。

純利益が予想値と大きく外れてしまうと、それに基づいて算定した予想PERも大きく外れるため注意しましょう。

5-2. PBR(株価純資産倍率)を使う時の注意点

PBRを使う時の注意点は次の3つです。

PBRを使うときの注意点

短期投資の判断には使えない

割安の裏にリスクをはらむ場合がある

創業期の企業は割高と評価される

順に解説します。

5-2-1. 短期投資の判断には使えない

PBRは、短期投資の判断には使えない指標です。

なぜなら、PERの分母の純資産は短期間で変動することがなく、短期的な株価変動に対する投資尺度にはならないからです。

このためPBRは短期の投資を行う際の判断材料には向いていないと言えます。

5-2-2. 割安の裏にリスクをはらむ場合がある

PBRが1以下でも、背景にリスクを抱えており、単純に割安と言えない場合があります。

例えば、赤字企業で株価が低迷しているような場合です。そうした場合、今は株価よりも純資産が高くても、将来、赤字の影響で資産が取り崩され、純資産が減少することが予測されます。

このように、PBRは数字の上で割安であっても、実態を確認すると赤字であったり、トラブルを抱えていたりと、株価が低迷するなんらかの事情を抱えている場合があるため注意しましょう。

PBRが割安な場合は、財務状況や企業ニュースをチェックするなどして懸念材料がないかどうか確認するようにしましょう。

5-2-3. 創業期の企業は割高と評価される

創業から間もない企業はPBRが高くなる傾向があります。

これは、創業期の企業は借入が多くなるため負債比率が高まり、相対的に純資産比率が低くなるからです。創業期の企業は、PBRの分母の一株当たりの純資産の値が小さくなるため、PBRの値が大きくなる傾向にあることに注意しましょう。

6. 他にも確認しておきたいファンダメンタル分析指標

既に述べた通り、PER、PBRはそれぞれ銘柄の割安感を判断することはできますが、それだけで優良銘柄が選択できるという万能指標ではありません。

PERとPBRは、企業の将来性や安全性などは判断できないという欠点があるため、投資判断をする際には、他の指標を補完的に利用する必要があります。

具体的には、下記のような指標を使うことがおすすめです。

【PER・PBRとあわせて確認したいファンダメンタル分析指標】

指標名

内容・見方

EPS(一株当たり純利益)

一株当たりどれだけ利益を出したかを見る。数年間の推移を見て上昇していれば、成長企業と判断できる。

ROE(自己資本利益率)

株主から集めた資本などの自己資本でどれくらい利益を生み出したかを見る。高いほど効率的と判断される。

ROA(総資産利益率) 

自己資本だけでなく負債などの他人資本も含めた総資産を活用し、どれだけ利益を上げたかを判断する。高いほど効率的と判断される。

BPS(一株当たり純資産)

1株に対して会社の純資産がいくらあるかを表す。一株当たり純資産は、「1株当たり解散価値」とも呼ばれる。高いほど純資産が多く、負債が少ないため、安全性が高いと判断される。

配当利回り

投資金額に対して1年でどの程度の配当をもらえるかを示す。数年間の推移で安定して高い利回りだと良いと判断される。

上記指標を使うと、PERとPBRでは確認できない下記のポイントについて確認することができるため、活用するようにしましょう。

■企業の将来性・成長性を見ることができる
EPS(一株当たり純利益)は、企業が今後事業を拡大していけるかという「企業の将来性・成長性」を確認することができます。

企業に成長力があると、その後株価の上昇が期待できるため、EPS(一株あたり純利益)の予想値や過去の数値などを見て、企業の成長性を判断するようにしましょう。

■企業の収益性を見る指標
ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)は、株に投資した資金でどれだけ効率的に稼いでいるかといった「収益性」を示す指標です。

収益性が高いと、投資した金額に対しての高いリターンが期待できるため、ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)を併せて見ることがおすすめです。

■企業の安全性を見る指標
BPS(一株当たり純資産)は、「一株当たりの解散価値」とも言われ、仮に企業が倒産・清算した場合株主の手元に残る価値を表す指標です。

企業が倒産しないかどうかといった安全性を測るためにも、BPS(一株当たり純資産)などの指標を併せて確認するようにしましょう。

■株価の割安感・割高感を測る指標

5-1-1. 赤字企業には使えない」で、PERは赤字決算の場合には使えないことを紹介しました。株価の割安感・割高感を測る指標としてほかに「配当利回り」を見るといった方法もあります。配当利回りは、数値が小さい方が割高、大きい方が割安となります。

上記の各指標も、PER・PBRと同様に、証券会社や投資情報会社のサイトで確認することができます。PER・PBRとあわせて確認するようにしましょう。

投資信託の選び方などをさらに深く学ぶには、投資のプロが教える投資講座などの受講がおすすめです。投資の正しい知識を効率的に学ぶことができます。

例えば、弊社の運営するGlobal Financial School(グローバルファイナンシャルスクール)では、「投資の達人になる投資講座」を提供しています。投資で失敗しないためにも、投資の本質がわかる無料セミナーへご参加ください。

「もっと収入を増やしたい…」
「将来を考えたらお金が不安になった…」
「収入を増やす方法が知りたいけど、毎日忙しい…」

そんな方に「投資の達人になる投資講座」がおすすめです!

「投資の達人になる投資講座」はこれまで7万人以上が参加。
日本トレンドリサーチの調査で「2021年最も信頼されるオンライン投資セミナー」に選ばれました。
オンラインで場所と時間を問わずに学習ができるのでどんな方でも気軽に受講できます!

まとめ

PERとPBRについて解説しましたが、いかがでしたか。

PER(株価収益率)とは、「企業の収益」に対する株価の割安・割高感を示す指標のことで、PBR(株価純資産倍率)とは、「企業の純資産」に対する株価の割安・割高感を示す指標のことでした。

PERは低いほど株価は割安と言え、PBRは1を下回ると割安、PBRが1であれば適性価格、PBRが1より大きければ割高と言えます。

それぞれの使いどころとしては下記のような場面があります。

PERとPBRは、業種によって水準がことなるため、同業他社と比較したり、自社の過去の推移と比較したりして判断するようにしましょう。

また、使う上では、下記の点にも注意するようにしましょう。

【PERとPBRを使うときの注意点】

PERを使うときの注意点

PBRを使うときの注意点

赤字企業には使えない

短期投資の判断には使えない

特別損益などで一時的に大きく変動することがある

割安の裏にリスクをはらむ場合がある

予想PERは予想が外れると大きくずれる

創業期の企業は割高と評価される

PERとPBRだけでは、割安・割高といった点しか確認できないため、実際の銘柄選びでは、EPS(一株あたり純利益)やROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)といった指標も活用するようにしましょう。

これらの情報をぜひ有力な銘柄選びに役立ててください。

 

記事一覧はこちら

コメント